SF サムライ・フィクション <SF製作委員会>


スタッフ
監督 中野裕之
脚本 斎藤ひろし
脚色 中野裕之
エグゼクティブ・プロデューサー 伊藤 満
プロデューサー 江崎隆明 木村博人 
           林 郁 高城 剛 中野裕之
撮影 矢島祐次郎
照明 椎原教貴
美術 望月正照 藤田博史
音楽 布袋寅泰
録音 星 一郎
衣装 松田一雄 江木良彦
ヘア・デザイン 渡辺サブロオ
編集 宮崎清春 中野裕之
助監督 藤田保行
配給 シネカノン
1998年8月8日(大阪は22日)公開
「SF SOUND TRACK」(東芝EMI)
ビデオ、DVD発売中(ポニー・キャニオン)


出演
風間杜夫 吹越 満 
布袋寅泰 緒川たまき 
夏木マリ 内藤武敏
谷 啓 神戸 浩 
藤井フミヤ 藤井尚之
大沢 健 桃生亜希子
ユキ リョウイチ ピエール瀧
マルセ太郎 きたろう 
中島らも 都屋歌六 
鈴木省吾 高木 完
田所 豊 梅垣義明 
佐藤正宏 近藤房之介 
吉岡英明 高崎隆二
赤星昇一郎 真下茂俊 
花田裕之 小林のり一 
池畑潤二 中村有志
岩松 了 中村和三郎 
緋田康人 星川なぎね 


<ストーリー>
今から300年前の日本。長島藩の家老の息子・犬飼平四郎は江戸で剣の修行を終え、国に帰ったところであった。
長島藩には殿様が強さに惚れこんで刀番として雇った、浪人上がりの風祭という男がいたが、こともあろうにその風祭が、エリート侍を殺し、将軍家からいただいた宝刀を奪って逃げてしまう。
宝刀の盗難がバレるとお家は断絶。藩の重役たちはニセモノを作って事件の揉み消しをはかる。
それを知った喧嘩っ早い平四郎は、藩の軟弱な態度に憤慨。父の制止もきかず、幼なじみの黒沢や鈴木とともに風祭を追う。
父・勘膳は忍者・影丸の部下である隼と赤影に、宝刀を取り返し風祭を倒し、平四郎たちを監視 するように命じる。
平四郎たちは風祭を見つけ挑みかかるが、剣の腕が違いすぎあっさりと黒沢は斬られてしまう。 平四郎も傷をおうがその場に居合わせた浪人・溝口に助けられる。
溝口は山で娘の小春と二人で暮らしていた。黒沢を斬られた怒りに燃え、傷も癒えぬうちに風祭 を追おうとする平四郎に、「人を斬るなんていけません」と諭す平和主義者だ。しかし平四郎に溝口の気持ちは理解できない。
風祭は宿場町の女親分・お勝の店に用心棒として世話になっていた。
風祭はたった一度会っただけの溝口が剣の達人であることを見抜いていた。あの時、勝負しようとしなかった溝口のことが気になってしかたがない。達人だからこそ達人の腕前がわかるのだ。
やがて平四郎の傷は癒え、小春との間に淡い恋心が芽生え始める。
ある日、風祭がお勝の店にいるという情報が平四郎の耳に入ってくる。血気にはやり風祭に再び挑もうとする平四郎を、溝口は酒の飲めない平四郎にたらふく甘酒を飲ませて動けなくし、家に連れ帰る。
溝口は宝刀について話し合いをするつもりで風祭に会いにいくが、肝心の風祭は居ず因縁をつけにきたと勘違いされ、ヤクザ相手に立ち回りをするはめになってしまう。
勘膳が倒れたと隼が嘘の報告で平四郎を藩に戻そうとするが失敗に終わる。何とか風祭との勝負を諦めさせようとする溝口だが、頑固者の平四郎は考えを変えようとはしない。
剣では絶対にかなわないのだから、石を投げて風祭をやっつける方法を溝口は平四郎に伝授す る。最初は渋っていた平四郎だが、溝口の「石をバカにするな!」の一喝で、石投げの特訓を始 めるのだった。
そんなある日、小春が風祭に誘拐される。溝口と勝負したいが為に小春を連れ去ったのだ。
剣の天才同士、溝口と風祭の勝負はどう決着がつくのか?! そして宝刀の行方は・・・?


ミュージックビデオ界のクロサワと呼ばれた中野裕之初監督作品。藤井フミヤから中島らもまで、個性的な出演者で映画の内容以外でも見所は多い。
風間の役は剣の達人・溝口半兵衛。凄腕ながら剣の道を捨て隠遁生活を送っている。人を斬った過去を悔い、ピースな道をゆく渋い男である。
映画の冒頭、映倫マークが真ん中に出る。これがカッコいい。そして現在から300年過去へさかのぼっていく映像のシャープなこと、鮮やかなこと、テンポのいいこと。
しかし前半は映画というよりも、映像と音楽が一体となったMTV風の感覚で、あまり物語としての流れみたいなものが感じられない。ようやく風間が登場するあたりから物語が動き出す、といった印象だ。
お話自体に新鮮味はなくどこかで見たような内容だが、映画全体に流れる空気がとても優しくて、気持ちのいい映画だった。奇をてらうことなく真っ当な時代劇なのにも好感が持てた。
でも、ピースな思想は理想ではあるけれど、昨今の凶悪な犯罪を思えばどこかで「でもなー」と素直に肯けない自分が哀しい。私も「人を裁けるのは神仏のみ」という心境に早くなりたいものである。
多彩な出演者の中で、風間が出ると画面が引き締まるのが、さすがである。布袋を始め出演者はみんないい味を出していたが、プロの役者はやっぱり重みがある。
ここ数年、自分が見たいと思う映画と風間の出演する映画が少しズレていたが、この映画は風間が出ていなかったとしても見たいと思っただろう。そういう映画で風間を見られるのは、本当に嬉しいことだ。
中野裕之のインタビューによると、最初、風間は出演を断っている。その後別の俳優で準備を進めていたが、その役者がクランクイン直前になって降りたために、急遽風間が「男として助太刀する」と出演を決めたそうだ。
クランクイン直前に降りるなんて、酷い行為だと思うが、どこの誰だか知らないその俳優にお礼を言いたいぐらいである。あんたのわがまま(?)のおかげで、こんなにカッコいい風間が見れた〜ありがとよー、って。
小春役の緒川たまきは平成版の舞台「広島に原爆を落とす日」で夏枝を演じたが、この映画の撮影が舞台の直前で、初代ディープ山崎の風間を相手に台詞の掛け合いをしたそうである。なんと贅沢な!! でも見てみたかった〜〜〜。
 

※文中敬称略