過去のひとりごと(2004年1〜3月)
 
2004年3月23日(火)

3月に入ってから慌しい毎日だったけど、ようやく一息ついた。
映画も全然見に行けなかった〜。
明日はレディースデーだし、久しぶりに行こうかな。
芝居は、一本観た。
新神戸オリエンタル劇場で上演されたこまつ座の『太鼓たたいて笛ふいて』
いや〜良かったです。
戦争中、政府の政策に賛同し、「太鼓たたいて笛ふいて」庶民をその気にさせた作家・林芙美子の姿を通して、時代の気分に乗せられてしまうことの怖さが伝わってきた。
太鼓をたたいた側だけを責めるのではなく、本当のことを知ろうとしなかった庶民の責任にも触れていて、これは昔話ではなく、いつの時代でも(もちろん今も)、肝に銘じておかなくてはいけないことだと思った。
出演者6人みんな良かったけど、特に、大竹しのぶ、梅沢昌代、神野三鈴の、3人の女優が良かったなあ。
タイプは全然違うけれど、それぞれに芯が強くて、キリリとした魅力的な女性像だった。
堅苦しい芝居ではなくて、歌や笑いで大いに楽しめる。でも、観終わったときに心に残るものは大きい。
井上ひさしの芝居では、私は『きらめく星座』が大好きなんだけど、それに次ぐぐらいに好きかも。いや、『頭痛肩こり樋口一葉』も良かったから、それと同じぐらいかな。
あ、もちろん『人間合格』も大好きです。

DVDで見た映画
『アダプテーション』
『マルコビッチの穴』の脚本家が、脚本ができあがっていく過程をそのまま映画にしてしまった。
虚実入り乱れ、どこまでホントでどこから幻想(妄想)なのかわからない。
素直に面白い!と思える映画じゃないけど、妙に後をひくんだよね。
くせのある俳優陣の演技が楽しい。
ハリウッドとは違う意味で、アメリカらしい映画だったと思う。
『愛のメモリー』
私はブライアン・デ・パルマの映画が好きだ。
『殺しのドレス』とか『ミッドナイト・クロス』とか、面白かったなあ。
でも最近の『ミッション・トゥ・マーズ』を見たときは、あまりのつまらなさに唖然として、「どうしたんだ…」とつぶやかずにはおれなかったのだけど、1976年『キャリー』の次に撮られたこの『愛のメモリー』は、さすがに面白かった!
ヒロインのジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが、大人の女性から子供まで違和感なく演じるのが凄かったなあ。
クリフ・ロバートソンの役を風間さんで見たい。
日本を舞台にして、2時間ドラマでもいいからリメイクしないかな。
でも、ヒロイン役を見つけるのが難しいかも。

念願のHDD付きDVDレコーダーを買ったのだ〜。
今は、昔のビデオをせっせとDVDにダビングする毎日。
あーなんて便利なんでしょ。
カセット→MD化は3年がかりでほぼ終了したので、これからはDVD化を頑張るぞー!
 
2004年3月11日(木)

このところバタバタと忙しくて、気が付いたらもう3月も中旬だ。
ここ3日ばかり4月並みの陽気でポカポカと暖かかったけど、明日はまた寒くなるらしい。

先週、千日前弥生座で『この世の外へ クラブ進駐軍』を見た。
戦後すぐの日本を舞台にしたジャズバンドの若者たちの話。
なかなか見応えがあってよい映画でした。
萩原聖人と前田亜季の歌がもう少し上手ければなあと思ったけど。
このあいだのタ・マニネで好演していた田中哲司が出ていて、ちょっと嬉しかった。
公式サイトはココをクリック!

映画が終わって劇場の外に出たら、いきなりうしろから「あんた、今、映画見てた人やな」と声をかけられた。
振り向くと、60代ぐらいの男性だった。
なんじゃろ?と思いつつ「ハァそうです」と答えると、「今の映画どうやった?」と聞かれる。
「良かったですけど…」と言ったら、「どのへんが?」と、またまた質問された。
映画を見終わった直後って、頭の中にモヤモヤとした感想はあるんだけど、なかなかうまく言葉にできない。
それに、「なにゆえこの人は、見ず知らずの私の感想など聞きたいんだろう???」と不思議で、多少の警戒心もあり、「えーと、音楽で日本人が立ち直っていく様子とか…」と、しどろもどろで答えた。
するとそのおじさんは、「阪本順治(監督)は私の教え子ですねん」と少し誇らしそうに言った。
「今まで欠かさずあいつの映画を見てきたけど、今日のは良かったわ。あそこまでよくやりましたわ」と、感慨無量の面持ち。
弥生座の前から高島屋まで、ほんの2〜3分、話しながら歩いた。
別れ際に「阪本監督の作品はよく見ています」と私が言うと、「いや、今日はありがとう」と嬉しそうに言って去って行かれた。
いきなり声をかけられたときはビックリしたけれど、こんなふうに、監督はたくさんの人に見守られているのだなあと実感して、ちょっと気持ちが暖かくなった。

最近見たDVD。
『シティ・オブ・ゴッド』『フェティッシュ』『13階段』『ルパン3世カリオストロの城』『歓楽通り』『発狂する唇』
最近読んだ本。
『遭難者の夢〜家族狩り第2部』(天童荒太)

『シティ・オブ・ゴッド』は才気がみなぎってる感じ。
すごいシャープで良かった。
今日はこれ以上、感想を書く気力がありません…
 
2004年2月29日(日)

今日で2月も終わり。でもまだ2月だったんだよねぇ。
このところずっと暖かかったので、東大寺のお水取りも終わっていないのに、なんだかもうすっかり春の気分だった。
でも、明日はまた寒くなるらしい。。
ロングコートをクリーニングに出そうかなんて気の早いことを考えていたけれど、やっぱりやめておいて良かった。

2月15日にシアタードラマシティでタ・マニネの『ワニを素手でつかまえる方法』を観た。
作・演出は岩松了。出演は小林薫、緒川たまき、小澤征悦、片桐はいり、三谷昇、徳井優、田中哲司、佐藤銀平、荒川良々、岩松了。
起承転結のはっきりした物語が好きな人には退屈な舞台かもしれない。
昭和30年代と思しき港町のホテルが舞台で、そこに集まった人たちの2日間を描いている。
ストーリーは地味だけど、一人一人が背負っているものはけっこうドラマチック。
淡々と言葉を交わしながら、その裏には濃い感情が流れていて、お互いに探り合うような微妙な台詞のやりとりは面白かった。
でも、普通っぽいようで、ときどきすごく文学的な台詞があるんだよね。
日常で、こんな会話はしないだろうっていう感じの。
登場人物の一人がワニになってしまうということを除いても、やっぱりちょっと不思議な独特の岩松ワールドとしか言えない世界だった。
去年『西へ行く女』を観たときも感じたけど、「なぜその言葉を使ったのか」「どうして笑うのか」など、普段、曖昧なままやり過ごしていることに答えを求めるような台詞が印象的だ。
岩松作品を観るたびに感じる厳しさは、人に対する真摯さの表れなのかな。
いかにふだん、自分が何も考えずに人と向き合っているのかを思い知らされてドキッとするんだけど、反面、なんともいえずゆるい空気で笑いを誘うシーンも多く、肩の凝る芝居ではない。
面白い?と聞かれると答えに困る。でも、私は嫌いじゃないな。

ろくに出演者もチェックしないで観に行ったので、休憩時間にロビーでこの芝居のポスターを見るまで、小澤征悦が出ていることに気付かなかった(^^;)
テレビで見るイメージとはかなり違ってたし、私の席は最後列だったし。
三谷昇はさすがの存在感だったなあ。もっと他の芝居でも観たいと思った。

10日ほど前に、映画『ラブ・アクチュアリー』を見に行った。
19人の登場人物がおりなすラブ・ストーリー。
私は群像ドラマには目がないので、公開前から楽しみにしていた。
いや〜、笑って泣けるいい映画でした。
後になって考えたら、深みがないような気がするし、もっと巧妙にすべての登場人物がつながっていたら見事だったのにと思うけど、見ているときは映画にひきこまれ、あっという間に終わってしまった。
登場人物を見る目が優しいんだよね。
すべての恋愛がうまくいくわけじゃない。なかにはほろ苦い結末もある。でも、どの人物にもかけがえのない愛する人(恋人、家族、友達)がいて、人を思う心の尊さに泣けてしまう。
ただ、首相の恋物語はちょっとなあ。
女の子のことで頭がいっぱいの首相なんてヤだ(^▽^;)
ヒュー・グラントが演じているからキュートに見えるけど、あれが小泉首相だったら…と考えると腹立つぞ。
って、そんなことを考えるヤツはいないか。夢のないヤツでごめん。
あれが首相じゃなく、小学校の校長先生とかだったらまだ素直に見られたのに。
でも、首相だからドラマチックでいいんだろうね。
ちょっとだけ登場するローワン・アトキンソン(Mr.ビーン)が可笑しかった(≧∇≦)

DVDで見た映画
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
ディカプリオが高校生?!と思って見たら、28歳に見える高校生役だった。
普通に面白い娯楽映画。
1960年代後半の空気を感じさせるタイトルバックがオシャレだった。
強く印象に残る映画ではなかったけど、手堅く作られていて楽しめた。
『戦場のピアニスト』
ナチス占領下のポーランドを舞台にした実話の映画化。
最初の1時間は、ユダヤ人がゲットーに集められ、収容所行きの列車に乗せられるまでの話。虐待され虫けらのように殺される描写が多く、見ていてとても辛い。
後半は主人公のピアニストが収容所行きを免れて、逃げ延びるまでを描いていた。
とにかく、この主人公の徹底した非戦ぶりが心に残る。
一度はナチスに対して抵抗をしている地下組織に参加しようとはするのだけれど、結局は、ポーランド人の支援者に助けられて、終戦まで隠れ続ける。
闘って死ぬのではなく隠れて生き続けることもまた壮絶で、どうして人間はこんなに過酷な状況を作り得るのかと、暗澹たる気持ちになった。
終戦間際、ナチスの将校(?)に見つかった主人公が、将校の前でピアノを弾くシーンが圧巻。
どんなにひどい時代でも、芸術は人の心を打ち、虐げられた人々を支えようとする人たちがいる。
生き延びたピアニストの影に、そんな名もない人たちの勇気があったことを忘れてはいけないと思った。

『姥ざかり花の旅笠〜小田宅子の「東路日記」』(田辺聖子)読了。
商家のお内儀さんだった小田宅子(高倉健サンのご先祖だそうだ)が、天保12年に52歳で筑前(福岡)から江戸まで約半年もの旅をした記録『東路日記』をテキストに、読者も江戸時代の旅を疑似体験できる面白い本だった。
宅子さんは裕福な商家の主婦だけれど、旅をすることでいろんな世界を見る。
田辺聖子は、宅子さんが訪れたその土地土地の歴史をひもとき、飢饉や洪水などの悲惨な現実にも目を向けていて、恵まれた人たちの旅だけではなく、広く江戸時代の庶民の暮らしについても書いているので勉強になった。
元気な50代の女ばかりの旅。きっとにぎやかで楽しかったんだろうなあ。
活発に文化を吸収し行動する江戸時代末期の女性たちの姿が鮮やかだった。

先週、日本総合悲劇協会の『ドライブ・イン・カリフォルニア』キョードー大阪の先行予約で千秋楽が取れた!
ヾ(@⌒▽⌒@)ノ
でも、2階席…最前列だからまだマシか…。
この優先予約、ぴあで受付だったのに、チケット発券はサンクスのみ。それも、発券期間が3日しかない!
サンクスなんて近所にないよ〜まったくもう!と文句をたれながらネットで店舗の検索。こういうとき、インターネットって本当に便利だ。
歩いていける範囲になかったので、電車で20分かけて発券しにいった。
来週、ダンダンブエノの先行予約があるけど、ローソンのみの発券で、これも引き取り期間が4日しかない。
これもやっぱあれかなあ、チケットゲッターがヤフオクなんかで大量に予約番号だけ出品したりしてるせい?
とにかく以前はよっぽどでないと芝居のチケットが買えないなんてことなかったのに、最近は本当に取り難くなった。
各プロモーターはチケットゲッター対策をいろいろ考えてると思うけど、いたちごっこなんだろうなあ。
これはインターネットの弊害だなあ。

昨日、ちょっと疲れ気味だったので「ファンケルでちょっくら青汁でもひっかけて帰るか」と思ってお店(元気ステーション)に行ったら、「原料不足のため販売を中止しています」と貼り紙がしてあった。
なに原料不足って?と思ってファンケルのHPを見てみたら「国内産ケールの生育不良のため」だって。
牛丼がなくなり、鳥インフルエンザで鶏肉も心配で、今度は青汁?!
いつもだったら気にならないんだろうけど、これだけ続くとね〜。
今のところ自分の生活に影響は出ていないものの、不安な気分が世の中に蔓延しているようで、それが心配。
 
2004年2月13日(金)

前回書き残したことをあれこれと・・・

先週、映画『半落ち』を見に行った。
『Dr.コトー』で吉岡秀隆にハマった友達に誘われたのだ。
地元の映画館のチケット売り場で待ち合わせ。
この日は高校1年になる友達の娘Kちゃんも一緒。
クラスメイトがこの映画を見て泣いたとかで、興味を持ったらしい。
確かに盛大に泣かせてくれる。
ラストの20分ほどは涙のとぎれるヒマがないぐらい。
誰もが自分に置き換えて考えられる身近な事件なので、感情移入しやすいんだよね。
ただ、警察と検察の対立や、管理職の描き方が類型的で、どこかで見たようなシーンが多かった。
中心人物の刑事も検事もカッコはいいんだけどな〜。深みがないんだよね。
まあ、他の登場人物に比べて、人間くさい描写がないので、損といえば損な役回りだったとは思うけど。
キャストでは被害者の姉役の樹木希林と弁護士の國村隼が良かったなあ。
法廷で樹木さんが号泣するシーンは「ええいいああ君からもらい泣き」状態でした。
やっぱり役者さんの力って大きいなと思った。

DVDで見た映画
『青い春』
『チョコレート』
『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』
『バンガー・シスターズ』

『幻世の祈り〜家族狩り第1部』(天童荒太)
『クライマーズ・ハイ』(横山秀夫) 読了

DVDと小説の感想も書こうと思ってたけど、眠い…もうダメ。

久々に写真をアップ。
上が南街劇場最後の日(2/2)下は近鉄劇場最終公演の日(2/4)の写真。
南街はよく見るといつも映画の看板がかかっていたところに「南街50年誠にありがとうございました」のあいさつ文あり。
近鉄劇場はとくにいつもと変わりはなかった。
南街は数年後にはシネコンとして復活するから映画館がなくなるわけではないけれど、この建物がなくなってしまうのは淋しい。
近鉄劇場はマンションになってしまんだよー。
一社提供だったテレビ番組「真珠の小箱」も放送終了するらしいし、近鉄、ホンマに大変やねんね…
だからといって、近鉄劇場の閉鎖が仕方がないとは思いたくないっす。


  
2004年2月10日(火)

昨日、風間さんがゲスト出演するので『プライド』を初めてじっくりと見た。
(以下、ネタバレあります。感想はちょっと辛口です)
先週チラっと見て、その絵に描いたような青春ドラマっぷりに、お尻のあたりがこそばいような、居心地の悪い気分になって、「こりゃ、普通なら絶対に見ないタイプのドラマだな」と思った。
昨日の放送では慣れたのか(^^;)、前回よりも居心地の悪さはなし。
でも、初回から見ていないので、3組のカップルの恋愛模様がよくわからなかったし、興味も持てなかった。
風間さんの役柄は、予告編を見て想像していたのとそれほどかけ離れてはいなくて、ハル(木村拓哉)を前にしての語りのシーンはさすが。
でも、恋愛ドラマのあいだに挟むには、重すぎるテーマのような気がする。
大和(坂口憲二)の心の傷は、ちゃんと今までに伏線をはってあったんだろうか?
今回だけを見ると、どうも唐突な感は否めない。
風間さんの台詞には説得力があって、あのお父さんの気持ちは伝わったけれど、台詞で全部説明してしまうことで、なんとか1話の中に納まったという感じだったな。
しかし、風間さんの口から「メイビー」が出るとは。
「君のキメ台詞を使わせてもらっていいかな?」と風間さんが言ったときの私の心の動き→「まさか!?」「言うのか?!」「言わせるな〜!」「あ〜言っちゃったよ」(^▽^;)、まあ、どこか照れくさそうなところが可愛かったのでいいんですけど(*^▽^*)
(とか言いながら実はもう何回もビデオで見ているワタシ…)
そっか〜、ハルの「メイビー」って、ファンにまで浸透している口癖だったのかァ。

私にはテレビドラマを毎週見る習慣がないので、野島伸司のドラマも、きちんと見たことがない。(映画は『君は僕をスキになる』と『高校教師』を見た)
だから、見当はずれなことを言ってるかもしれないけど、テレビ雑誌などで読んだ今までの作品の評判や、使われた音楽(森田童子、カーペンターズ、S&G)等から考えるに、1970年前後のドラマや風俗が好きなんだろうなと思う。
今日のドラマだって、ストーリーは昔の青春ドラマ(高校生とかが主役のヤツ)みたいだし、「古きよき時代」ってのがキーワードのようだし。
でも、求めているのは70年代なのに、実際の雰囲気はバブル時代のトレンディドラマ(死語?)のままで、描きたいであろうことが上滑りしてるように思えた。
タイトルバックはスピード感があってすごくカッコいい。
QUEEN!懐かしいなあ。
中学にも高校にもファンがいたなあ。
フレディ・マーキュリーじゃなく、二人ともブライアン・メイのファンだった。
ここ何年か、ドラマやCMで私が学生時代に流行っていた曲が使われることが多いのは、制作者の中心に同世代が多くなってきたからなんだろうな。

ここからは先週の話。
2月1日は大阪府知事選挙。とりあえず投票に行って、それから東京へ。
シアタートップスでトムプロジェクトの『掃除屋』を観た。
ほろ苦い短編小説のような味わいの舞台だった。
山田花子は、台詞術ということでいえば素人同然。棒読みのうえにイントネーションは関西弁のまま。
でも、妙な小賢しさのない天然さが役に似合っていて、見ていてイヤになる下手さではなかった。私は小劇団の女優にありがちな、高校演劇の優等生みたいな演技が苦手で、それに比べたらあの素朴さは微笑ましい。
上手さを求めるなら、最初から山田花子は起用しないだろうしね。
柳家花緑のくせのない演技にも好感。
ただ、実力のある俳優さんばかりで、この芝居を観たいという気持ちもある。
マトモに働こうとしない父と兄、その二人を甘やかす妹、その妹との結婚が決まった掃除屋の、ちょっとした思いあがり。
そんなどこにでもありそうなごく普通の人生模様が、もっと深く胸に染み入ってくるような気がする。いい話だと思ったけど、ちょっと物足りない。あのアッサリ加減もまた好きではあるんだけど。

『掃除屋』の後は外苑前のライブハウスに移動して、根岸季衣さんの5th Birthday Eve Live。
最初に根岸さんのライブに風間さんがゲスト出演すると聞いたとき、これは見逃せん!と鼻息を荒くしたものの、日曜の夜だ…当然日帰りは無理。こりゃダメか…と諦めかけた。
でも、諦めきれずなんとか調整して無事にライブ当日を迎えることが出来て、始まる前から胸がドキドキ!
高校のときに深夜放送でたまたま聴いた根岸さんのデビュー曲『音信川』が大好きで、根岸さんのアルバムは2枚持っている。
つか事務所の芝居を観るようになって、つか芝居の音楽を担当していた旦那様の大津あきらさんの曲も好きになり(もともと『音信川』は大津さんの作詞作曲だけど)、大津さんのアルバムも買った。
そういう懐かしい思い出があるので、根岸さんの50才の誕生日(イブ)ライブ!さらに風間さんがゲスト!ああ…ただひたすら感慨無量でございました。
マディ・ウォータースの『フーチークーチー・マン』で渋く幕を開け、その後歌ったジャニス・ジョプリンの『トライ』や根岸さん作詞のオリジナル曲もステキ!若いお姉ちゃんには決して出せないカッコ良さだ。
なんて眩しい50才なんだろう。あまりにも道のりは遠いけど、あんなにチャーミングに年を重ねられたら最高だなあと思う。
中盤も過ぎ盛り上がったところに風間さんが登場。
スクリーンには、『夜明けの刑事』(1976年)で共演したときの風間さんと根岸さんの映像が流れている。初々しく可愛い根岸さん、一途さを漂わせた青年の風間さん。あれから28年もの年月が流れて、その間、お互いに芸能界でいろんな経験を積んで、そして、こうやって今も、誕生日を祝える友達同士でいられるなんて、素晴らしいよね。かつてのつか芝居のファンにとっても、この仲の良さは本当に嬉しく誇らしいことだと思う。
風間さんは、根岸さんにバカラのグラスをプレゼント。
そして、同じくゲストの岸部一徳さんも登場して、なんと根岸さんと岸部さんをバックコーラスに従えて風間さんが『好きさ好きさ好きさ』を熱唱。
エモーショナルなヴォーカルを炸裂させて、会場はさらに大盛り上がり。
岸部さんの風間さんとの共演作では『熱帯楽園倶楽部』で風間さん演じるJOYに騙される「タチバナさん」も好きだし、テレビドラマの『港町純情シネマ』で、風間さんとその兄役の西田敏行さんに送別会をめちゃくちゃにされて、誰もいないフロアで「悪夢だ…悪夢だ…」とつぶやくキャバレーの支配人役も忘れがたい怪演で大好きだ。
いや〜ライブでこんな3ショットが見られるとは思っていませんでした。生きてて良かった。
神様ありがとうヾ(@† ▽ †@)ノ
風間さんたちはステージを退場したあとそのまま消えるのかと思っていたら、客席で楽しそうに根岸さんのライブをご鑑賞。フと見ると、根岸さんのサイトで知り合ったSちゃんの旦那様の隣に座っているではないか〜!
後で聞いたら、Sちゃんは私に向かって何度も手を振って呼んでくれたらしいんだけど、まったく気付かなかった。もし気付いててもライブ中に移動できないっちゅうの(^。^)
その後、Toshieさんのバンド、Toshie The Blues Lordのもう一人のヴォーカルBusterさんが登場。Toshieさんと何曲かデュエット。
上手いのなんのって、その甘い歌声に客席ウットリ。
終盤になってジャズシンガーの酒井俊さんがゲストで登場して、ソウルフルな歌声を聴かせてくれた。
そして、最後のゲストはなんと山崎まさよしさん!根岸さんは山崎さんの熱烈なファンなんだよね。
歌こそ歌わなかったものの、ブルースハープで根岸さんのバンドとセッション。
これにはビックリ!特にファンではなかったけど、ミュージシャンは生で見るとやっぱりカッコいいよねぇ。
根岸さんもきっと最高に幸せだっただろうなあ。
ラストはブルースの定番『スィート・ホーム・シカゴ』で締め括り。
1時間40分ほどのステージがあっという間だった。あー楽しかった。

ライブは終わってもお店は12時まで営業しているということで、引き続き店に残って飲んで喋る。
この日は友達の家にお世話になることになっていて、あまり遅くなると向こうに悪いので、10時前には店を出た。
ホントはライブの熱気の残るお店に、もうちょっといたかったんだけど。
10時半頃、友達と居酒屋で合流。友達の彼氏や友達の友達も一緒に12時頃までまた飲んだ。
翌日、午前10時の新幹線で帰阪。
慌しかったけど、充実した一日だったなあ。
次の上京は5月の明治座かな。それまでまた、地道に頑張らなきゃね。

うわー長くなりすぎ。
他にも書きたいことがあったのにィ。
そのつど書かないからこうなるんだよねー。
来週は忙しくなりそうだから、必ず今週中に続きを書くこと。と、一応書いておくけど、実行できなかったらスンマセン。
 
2004年1月27日(火)

前回書いたのがついこのあいだだと思ってたのにもう10日以上たってて驚く。
先週、『ラスト・サムライ』を見た。
いつもは空いてる地元の映画館が満員盛況だったから、よっぽどヒットしてるんだな。
泣ける泣けるという前評判をいっぱい聞いて期待していたのに、結局最後まで泣けず。
見せ方は上手いんだよ。映像は綺麗だし迫力あるし重厚だし、丁寧にきちんと撮られた映画だった。
1800円の値打ちは十分あると思う。
じゃあなんでイマイチのめり込んで見られなかったのかというと、たぶん渡辺謙演じる勝元が何を守ろうとして闘っているのかが、よくわからなかったからだと思う。
これが「家族」とか、「村」とかいうわかりやすい理由なら、もっと感情移入しやすかった。でも、「武士道精神」なんて難しいもののために闘われても(本当は未来の日本のためなんだろうけど)、素直に感情移入できない。
滅ぶとわかっていながら信念のためにあえて戦いを挑んでいくことに美を感じるのはわからなくもない。でもな〜、このヒロイズムには酔えないんだよな〜。私が女だからか?と思ったものの、隣で見ていた女の人はハンカチを握り締めて盛大に泣いてたしなあ。
この映画の視点は、あくまでトム・クルーズ演じるオールグレン大尉にある。(最後は写真屋が語り部になってるが)
だから、勝元側が描写不足なんだよね。
オールグレンから見た勝元のカリスマ性や穏やかな集落での生活、奥ゆかしい女性の姿などは描かれても、なぜ闘っているのかがよくわからない。
あくまでも「多文化を力で制圧していくことに罪悪感を抱いていた軍人が、武士道精神に触れることで、闘うこととは何かを知る話」だから、勝元の背景はそれほど重要ではないんだろうし、それを詳しく描くと明治政府の内部事情にまで話が及んで焦点がボケてしまうかもしれないしね。
ただ、悪役が大村(政府の権力者だが武士ではなく商人出身)だけなので、近代化という名の西洋化と武士道の対立などという単純な図式に見えてしまう。
でもハリウッド映画だからしょうがないんでしょう。むしろここまでよく描けたと言うべきかも。
戦場のシーンでバタバタと倒れていく政府側の兵隊たちを見てなんともやるせない気持ちになった。
彼らは武士ではなくほとんどが徴兵された農民や町人たちでしょ。死んでいく姿を見るのは辛かった。
「なんでこの人たちは死ななきゃならないんだろう?」と思ったときに、私は納得できる答えが欲しかったんだと思う。だから、勝元が闘う理由に拘ってしまうんだろう。「闘うのもやむなし」と思えれば、まだ救われるから。でも、そこまでこの映画は描いてくれていないので、疑問ばかりが頭の中を渦巻いていて、感動までには至らなかったんだよね。
なんで闘うのかというその根本のところに共感できないと、私の場合はダメだな〜。
ただ、泣けたからいいかと言うと決してそんなことはなく、例えば先日見た映画『壬生義士伝』なんて、最後のほうはもう滂沱の涙。ヒクヒク言うぐらい泣いたけど、映画自体はさほどよく出来ていたとは思わない。
日本人から見ると、ヘンだなと思うところはけっこうあるけれど、ステロタイプの日本人像を出さなかったというだけでも『ラスト・サムライ』は画期的で良心的な映画だったと思う。なんだかんだ言っても見応えあったしね。
渡辺謙はいつもの渡辺謙だった。けなしているワケじゃなく、もともと実力のある俳優さんだから、この映画が特別良いとは思わなかっただけ。でも、すごくいい役だったと思うし、ゴールデングローブ賞の授賞式でもハリウッドスターに負けないカッコ良さで、同じ日本人として嬉しかった。
アカデミー賞の助演男優賞にもノミネートされたそうで、おめでとうございます。

今日は『イッセー尾形 最後の最後の上本町』を観に行った。
近鉄小劇場はこの公演が最後(2/1まで)で、上の近鉄劇場は2/4のふるさとキャラバンを最後になくなってしまう。
2004年1月末なんてまだまだ先だと思っていたのに、あっという間だったなあ。
近鉄劇場の外壁には跡地に建つ予定のマンションの広告が...哀しい(T-T)
本当は千秋楽に行きたかったんだけど、チケットが取れなかったのさ。
今日も立見が出る盛況ぶりだった。
隣の席のおじさんが、始まって5分ぐらいで寝息をたてはじめ、それが気になって最初はなかなか舞台に集中できなかったんだけど、途中で眠気は去ったらしく、後半はしっかり楽しめた。
客席も徐々にボルテージが上がってきて、大爆笑の連続。やっぱりイッセー尾形の人物スケッチは面白いわ。
今回は、単身赴任を言い渡されて家に帰ってきた中年サラリーマンとか、離婚した後も妻や子供に未練たっぷりで、元妻が勤めるスーパーの裏口で待ち伏せする溶接工の男とか、全部で6人の人生の断片が鮮やかに演じられていた。
イッセーさんは女の人も演じるんだけど、可愛いさがあっていいんだよね。
今回もパワフルな関西弁の女性・秋本さんが秀逸。
最後の最後の上本町が、イッセーさんで良かったな。
カーテンコールでの輝くようなイッセーさんの笑顔を、近鉄小劇場の最後の思い出として、いつまでも覚えていたいと思う。

最近見たDVD
『スパイ・ゾルゲ』
前半は教科書のような単調さ。後半はそこそこ面白く見られた。戦前の東京の街並がほぼすべてCGで、ちょっと不自然さも感じたが、ここまで出来るようになったのかと、技術の進歩に感心した。
『女はバス停で服を着替えた』
戸田菜穂と遠藤憲一主演。うーん、ビミョーだな。「とんでも映画」というわけではないけど、なんかハズしてる。ちょっとヘン。
『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』
ニューヨークに住むギリシャ系の女性が、ギリシャ系以外の男性と恋に落ち結婚を決意したことから起こる家族のドタバタを描いたラブ・ストーリー(ホーム・コメディか?)。
花婿役の俳優さんが、小泉首相に似てた。
『なごり雪』
伊勢正三のヒット曲『なごり雪』を題材にした青春映画。
50歳の主人公(三浦友和)が過去を回想する形で映画は進んでいく。
舞台になっているのは1972年ぐらいまでなんだけど、舞台が田舎町のせいか、もっと古い青春映画の匂いがした。
大林宣彦監督は、かつて存在した美しい日本の自然と言葉に拘って撮ったらしい。そう言われてみれば納得できるものの、この世界は気恥ずかしくもあるな。

5月は『燃えよ剣』以外にも観たい芝居が目白押し。どれを諦めるかで悩んでる。
阿佐スパ、大人計画、ダンダンブエノは観劇確定。『髑髏城の七人』はパスかな。シティボーイズも今年はいいか。
近鉄劇場がなくなって、これからは芸術ホールでの演劇公演が増えそう。でも、あそこ、けっこう大きいぞ。
次のリリパはワッハ上方、青い鳥はドーンセンター。小劇場は劇場探しに苦労してるんじゃないかな。
でも、ワッハ上方はいいと思う。手ごろなキャパシティだし場所はミナミのど真ん中。向かいはなんばグランド花月だよん。
漫才通の友達に言わせると、NGKより今は梅田花月が面白いらしい。
こんど連れていってもらおう。
 
2004年1月16日(金)

もう1月半ばだよ〜。早いよ〜。
今年は1月1日から映画館に行こう!と思っていたのに、結局ダラダラ過ごしてしまい、まだ今年に入ってからは映画館には1回も行ってない。
連休に去年見た映画を書き出してみたら少なかったなあ。今年はもうちょっと見たいと思うけど、なかなか思うようにはいかないだろうな。
もうすぐ南街劇場が閉館になり、その跡地にはシネコンが出来るらしい。ちょっと前までシネコンというと、郊外というイメージだったのが、最近は街中の映画館も続々とシネコン化されていく。
シネコンは綺麗だし設備は整っているし快適に見られていいんだけど、昔ながらの映画館も残っていて欲しい。
座席指定だったり途中入場不可だったり、中には規則が多くてめんどくさいシネコンもあるよね。
映画って、もっと気楽に見るべき娯楽だと思うんだけど…
でも、古い映画館には平気でタバコを吸うオヤジなどマナーを守らない客もいて、うんざりすることも多い。
単なるノスタルジーで「古い映画館を残せ」と言うのは簡単だけど、昔ながらのやり方ではもう映画館は残っていけない時代なのだと思う。
でも、やっぱり外観ぐらいは昔のままであって欲しい…と思いつつも、南街の跡地には丸井が入ると聞くと、ちょっと楽しみ。
もっとも丸井って若者向けらしいから、私には縁がないかな。

映画館には行ってないけど、芝居は何本か観た。
まず2日に松竹座で寿初春大歌舞伎。
私が観たのは夜の部。
最初の演目は『鬼一法眼三略巻 菊畑』
平家全盛の時代を舞台に、源氏側の人々を描いた武士もの。
いかにも歌舞伎!という華やかな舞台だったけど、恥ずかしながらほとんど寝てました(^^;)
私は武士ものが苦手でいっつも寝てしまう。
こういうので寝てしまうということは、私は本当は歌舞伎が好きじゃないんじゃないかと思ってしまう。
イヤホーンガイドも借りて、しっかり見ようと始まる前にはいつも思うんだけどなあ。眠くならない方法があれば、誰か教えてくださいませ。よろしく<(_ _)>
次が『寿靱猿』
可愛い小猿が登場する舞踊で、もとは狂言だったのを歌舞伎化したそうだ。
中村鴈治郎、中村千雀、中村虎之介(6歳)の親子3代に、中村吉右衛門という顔ぶれ。
こうやって家の芸が受け継がれていくのだなあと観ながら思った。
次の『人間万事金世中』はなんと翻訳劇。
もとはイギリスの喜劇だったものを、日本を舞台に置き換えて、明治12年に上演されたのが初演だったとか。
舞台になっているのは明治時代の横浜。
こういう明治の新風俗を描いた作品を「散切物」と呼ぶそうだ。
歌舞伎に現代劇(当時から見れば)があったのね。またひとつ勉強になりました。
でも、洋服を着た人が登場しても、雰囲気はやっぱり歌舞伎。観ていて全然違和感はなし。
主人公は心の優しい真面目な青年なんだけど、この青年の雇い主の一家が大変な強欲ぞろいで、あまりにその銭ゲバぶりが徹底しているので、むしろ気持ちいいぐらい。
もちろん、最後はちゃんと善が勝つんだけどね。
わかりやすくて肩の凝らない芝居で面白かった。でも、歌舞伎として観るからいいんだろうなあ。
最後は『俄獅子』
吉原を舞台に、恋仲の芸者と鳶頭の二人がからむ踊り。
江戸の粋な世界が垣間見れるようだった。

6日は厚生年金芸術ホールで東京ヴォードヴィルショーの『その場しのぎの男たち』を観た。
三谷幸喜作、山田和也演出の舞台で、今まで何度か上演されてきたみたいなんだけど、私は初めて。
来日中のロシアの皇太子に、警護にあたっていた警官が切りつけて怪我を負わせた「大津事件」を題材にしたコメディー。
思わぬ大事件に右往左往する政治家たちの情けなさが可笑しい。
ときの内閣の大臣たちは、大きな存在である伊藤博文の影響力から逃れるチャンス!と張り切って、自分たちだけでことを解決しようとするのだが、その行き当たりバッタリの対策がことごとくハズれ、ますます泥沼。さて、どうやってこの国難を乗り切るのか…というのがストーリー。
観始めてすぐに、同じ大津事件を題材にした芝居を観たことを思い出したんだけど、なかなかタイトルが出てこない…それが気になって、最初は舞台に集中できなかった。
15分ほどで思い出した。島田正吾のひとり芝居『司法権』
こちらは、「殺人未遂は死刑にならない」と刑法で定められているのに死刑を要求する政府に対して、司法を守るために信念を貫く児島大審院長を描いた北条秀司(王将で有名)の作品だった。
この「死刑にする」「しない」という問題は、今回の芝居にも出てくるんだけど、「刑法では死刑にできないなら、いっそ暗殺しよう」と、刑務所にくのいちを差し向けるという展開に(^。^)
暗殺というのは実際にありそうだけど、そこにくのいちをもってくるバカバカしさがこの芝居なんだよね。
風刺がきいてるとかブラックな笑いとかではないけれど、2時間笑って楽しめたから、これはこれでいいと思う。
東京では伊東四朗が山本龍二とWキャストで伊藤博文を演じていたが、地方公演は山本龍二のみ。
なんだよ〜伊東四朗観たかったのにィと思っていたら、山本龍二がいい味出してて、思ってたよりもかなり良かった。
青年座の俳優さんで、さっきネットで調べたら案外若いのね。まだ49歳。2階席から観てたせいか、もう60近いのかと思ってた。どうも失礼いたしました(^^;)

14日はシアタードラマシティに劇団新感線の『レッツゴー!忍法帖』を観に行った。
良くも悪くもいつもの新幹線ですな。
ストーリーよりもギャグの連続で楽しませる舞台で、クラスの人気者が出るお楽しみ会の寸劇に近いノリだなあと思った。
でもそれだけに、新感線の笑いのセンスを受け付けられないと辛い舞台ではある。
私は、ギャグそのものはあんまり面白いとは思えない。
じゃあなんで観に行くのかというと、やっぱり役者だよね〜。
今回も阿部サダヲ、古田新太、池田成志、高田聖子、入江雅人、橋本じゅん、等々、出演者は豪華。
笑いの点で言えば、古田新太と高田聖子は貫禄。
舞台がダレてても、二人が出てくると締まるんだよね。
派手なことをしなくても笑いが取れるのは、生まれ持ったキャラクターもあるけど、やっぱり芝居が上手いからなんだろうな。
阿部サダヲは妙な華がある。スター性があるよね。
池田成志は、まさか「ビジュアル系忍者」なんて役で登場するとは思ってなかったよ(^。^)
40過ぎてもあのテンションの高さ。もう極めて欲しいと思いますわ。
カーテンコールのとき、いつも無愛想な成志なのに、手を振ったらこっちを見て珍しく振り返してくれた!それも何度も!
…と隣で観ていたYちゃんが言い張るので、そういうことにしておこう。
ちなみに私たちの席は前から21列目(^◇^)
しかし、いつもながら上演時間長いよなあ。終わったら10時だもん。喫茶店でお茶して帰ったら12時だよ。
もうちょっと脱線を少なくして短くすれば引き締まると思うんだけど。
でも、脱線がやりたいがための舞台なんだろうな。ファンもそこを愛しているような気がする。

他に見たもの。
DVD&ビデオ
『かあちゃん』『ボイス』『ごめん』『壬生義士伝』
読んだ本
『コロビマス』(山本音也)『劇場コモンセンス』(前川麻子)
今日は長くなったので、感想はまた次回。
 
2004年1月1日(木)

12月は、風間さんのひとり芝居のテレビ放送、芸術祭大賞受賞、『世阿彌』などなど、書きたいことがいろいろあったのに、なんだかんだとバタバタしているうちに年が明けてしまった…(^^;)

12月20日と21日に新国立劇場で『世阿彌』を観た。
先に観た人に感想を聞くと、みんな「難しい」「難解だ」って言ってて、わかりにくい芝居なのか〜と、ちょっと観るのが怖いような気持ちだった。
で、実際に観て思ったのは、「やっぱり難しい」
難しいと言っても、話の筋はよくわかるの。舞台の上で起こっていることは理解できる。でも、なんなんだろう?観客の理解とか共感とかを、どこか拒絶しているように感じて、スっと舞台に入っていけなかったんだよね。
まあ芸術家の精神世界なんて、おいそれとは理解できないと思うけど、生身の人間くさい部分も見たかったなあと思った。
形は綺麗なのよ。役者の立ち位置や動きもきちんと計算されていて、漆のお盆に載せられた綺麗な料理のようなの。
様式美で舞台を染め上げるなら、それも良かったかもしれない。
でも、実力のある役者さんを揃えたのに、演技スタイルに統一感がなくて、ひとつの優美な世界を作り出せてはいないと思った。
ラスト、民衆の土臭い踊りと、優雅に舞いながら去っていく世阿彌の対比がイマイチ生きていなかったのが残念。民衆の踊りにもっとエネルギーを感じさせて欲しかった。
私は能は観たことがないし、世阿彌も名前ぐらいしか知らなかった人間なので、この世界のことをよく知ってる人が読んだら、失笑するような感想かもしれないけれど、これが正直な気持ちです。
でも、つまらなくはなかったのよ。
台詞は音楽のように耳に心地よく響いたし(それゆえ少し眠気が…^_^;)、雅な衣装は目の保養になった。
私はもともと芸道ものが好きで、今回も、能を探究し研ぎ澄まされていく世阿彌の姿は興味深かったしね。
まぎれもないプロの仕事。役者さんにもスタッフにも力量があるからこそ出来た密度の濃い舞台だと思った。
ただ、今の世の中で、「影として生きる苦しみ」を切実に感じる人がどれほどいるのかなあ。芸のために自ら影法師として生きることを決断した役者の凄みがどれほどの人に伝わったんだろう?世阿彌にその姿を写し出されて安らかに眠れない死者たちの訴えは?
私の興味はどうしても下世話な方面に向かってしまうので、この高尚さは正直ピンとこない。つくづくベタな人間だなあと思う。
風間ファン的には、こういうビジュアルに凝った舞台に風間さんが出演するのは珍しいので、新鮮だった。
重厚な三津五郎さんに対して、若々しくて快活な演技。生きようとする意思の強さが印象的だった。
でも、きっちりとした枠組みの中で形の美しさを見せるような芝居よりも、もっと大らかに動ける芝居のほうが、風間さんの魅力は生きるのでは?と、思う。
いや、いいんだけど、十分良かったんだけど、ちょっと窮屈そうに感じてしまったんだよね。
ひとり芝居の後だったから、余計にそう思ってしまったのかもしれない。
今回の芝居で私が一番楽しみにしていた豪華キャストの共演は、少し物足りなかった。
見応えはあったものの、もっとたっぷり絡んで欲しかったなあ。贅沢ですか?

12月24日に近鉄小劇場で『7ストーリーズ』を観た。
相島一之、深浦加奈子、加藤貴子他の出演。カナダで大ヒットしたお芝居だそうだ。
舞台はマンションの7階。7つのバルコニーが並んでいる。
この場所で今まさに飛び降り自殺をしようとしている男の前に、奇妙な住人たちが入れ替わり立ち代り現れて、なかなか飛び降りられないというお話。
心が温かくなるようなラストは気持ちいい。
クリスマスイブに一人で観たんだけど、独り者に優しい芝居でしたわ。
でも、ひとつひとつのエピソードはイマイチ面白いとは思えなかった。
深浦加奈子の老婆は良かったけど。

29日は2003年最後の映画鑑賞。
シネフェスタで『アイデン&ティティ』を見た。
原作・みうらじゅん、脚本・宮藤官九郎、そして田口トモロヲ初監督作品。
バンドブーム(10年ぐらい前?)を舞台にした青春映画だ。
すごくいい映画だと思ったけど、これは男子が感動する映画だなあ。
女子の居場所がないんだもん。
でも、真剣にロックに取り組んだ人や、あの時代を体験している世代にはたまらないものがあると思う。
一生懸命な主人公を見ていたら、自分は何をやっても中途半端で、何一つものになった試しがないことを改めて思い出して落ち込んでしまった。あ〜小学生からやり直したい。

DVDで見た映画。
『ぼくんち』
スピリッツで連載されてたとき原作を読んでいたので、なんて毒気の抜けた『ぼくんち』なんだと思ったけれど、DVDに収録されていたインタビューを見たら、監督は、毒気のあるものは今までさんざんやってきたので、今回は心の温まる映画をやりたいと言っていて、このほのぼの感は狙ったものなんだと納得。
「泣いて腹がふくれるか。泣きたいときこそ笑うんや」という台詞が最後に生きてくる。
幼い兄弟の表情がイイ!
『王様の漢方』
日中合作映画。万里の長城近くに住む漢方医のもとに、日本から病気を治療するためのツアーがやってきて…というストーリー。
主役は、テレビ『大地の子』で有名な朱旭。日本からは渡辺篤史、沢本忠雄などが参加。漢方医の弟子のアメリカ人青年が、ノーマン・リーダスだと後で気付いてビックリした。
登場人物はいい人ばかり。漢方の勉強にもなって、なかなか良かった。
特典映像の渡辺篤史のインタビューで、万里の長城や泊まったホテルの造りについて解説していたのには笑った。さすがお宅訪問歴長いだけあるわ。

12月23日、TBSチャンネルで小田和正のライブを見ていた。
小田和正が他のアーティストの曲を歌うというもので、『勝手にシンドバッド』とか『桜坂』とか『夜空のムコウ』とか、曲のチョイスも良くていい雰囲気だった。
ところが、宇多田ヒカルの『オートマティック』を小田さんが歌っている最中に、「ICカードが情報を読み取れません」というメッセージが出たと思ったら、突然画面が真っ暗に。
それからなにをしてもウンともスンとも言わない。第一、電源が切れない。PCでいうフリーズ状態。仕方ないのでコンセントを抜き差しするが、やっぱり同じこと。
チューナーを買ってもう7年近いので、そろそろ寿命かなと思い、せっかちな私はその夜のうちにYahooオークションで中古のスカパーチューナーだけを安く落札した。
ICカードは同じのでイケるとふんだんだけど、忘れてた…。
落札したのはスカパーのチューナー。私が使ってたのはパーフェクTV!専用チューナー。パーフェクTV!のICカードはスカパーのチューナーでは使えない。。
仕方がないのでスカパーのカスタマーセンターに電話して、ICカードを再発行してもらうことにした。再発行には8000円かかる。結局、新品を買うのと大差ない金額がかかってしまった(T-T)
オークションではICカードも安く出品されてるけど、出所がわからずどうも不安なのと、また落札して振り込んでスカパーに電話して…という手続きが面倒くさかったので、高いけどスカパーの再発行を選んだ。
ICカードは電話した翌日には届いて、スカパーが写らなかった期間は実質5日ぐらい。
でも、小田和正のライブはもう見られない。再放送はないのかなあ(〒_〒)ウウウ ー

チューナーを変えただけなので、何も変化はないと思ってたんだけど、どうやらパーフェクTV!からスカパーへの移行のときは新規契約扱いになるらしくて、今、全チャンネル写ってまーす!2週間のお試し期間というやつですね。
アンテナは変えてないので相変わらずスカイサービスは写んないんだけど、年末年始にスターチャンネルや衛星劇場が見られるのはラッキー!
と言っても、年末はもう終わっちまったよ。何にも見られなかったよo( _ _ )o ショボーン
でも、あと1週間は写るはずだから、その期間、せっせと録画しておこう。
あ〜DVDレコーダー欲しいなあ。

年末年始は漫才ばかり見ていたような気がする。
M−1グランプリに始まって、オール・ザッツ漫才でしょ。今日はフジテレビの爆笑ヒットパレードを見た。
11月頃に漫才好きの友達に会ったときに「今年のM-1はどこが本命なん?」と聞いたら「フットボールアワー!」と即答していたが、その通りやったな。
今年のM-1で印象に残ったのは、りあるキッズ!
ボケのほうの子が、顔は小学生みたいやのに(実際は高校生)妙に老成した芸風でおもろいわ〜。オール・ザッツ漫才にも出てたけど、やっぱり笑えた。これからが楽しみ。

昨年は風間さんの芸術祭大賞という素晴らしいニュースで幕を閉じた。
2004年もその勢いで、舞台に映像にと大活躍されること間違いなし!でしょう。
今年も応援のし甲斐がありそうだなあ。
風間さんが頑張ってるんだから、私も頑張って働いて貯金!
でないとお芝居観れないもんね。無駄使いはやめよう。
2004年、年頭の誓いでした。

※新年早々長くてすんません<(_ _)>
 

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