過去のひとりごと(2003年7〜9月)
 
2003年9月25日(木)

最近は雨ばっかり。明日は晴れてよォ。
雨の中、大きな荷物持って歩くのはイヤじゃ〜。

もう寝なきゃいけないんだけど、とりあえず観たものの感想を書いておかないと、次の『死と乙女』をじっくり書けないので…

先週の土曜日、近鉄小劇場で立身出世劇場の『港町マクベス』を観た。
シェイクスピアの『マクベス』をモチーフにしているが、ほとんどオリジナル作品。
昭和40年代の日本の港町(横浜?)を舞台に、ヤクザの世界でのし上がりやがて破滅していく男たちの話だった。
この劇団を観るのは初めて。
関西の劇団らしいわかりやすい(ベタとも言う)作風なのかなと思った。
2時間ちょっとあったんだけど、テンポよく飽きさせずに見せてはくれる。
でも、どこかで観たようなエピソードが多くて、Vシネマでも見ているようだった。
香港ノワールみたいな匂いもしたなあ。きっとこの作者は『男たちの挽歌』とか好きに違いない。あと、韓国映画の『友よ チング』とかね。
日本人(でも捨て子という設定で本当の国籍は不明)と中国人と在日韓国人の若者が、国籍なんて関係のない世界を作る夢を語り、そしてその夢が若者たち自身の手で壊されていく無残さを描いていた。
言いたいことはわかるのだけど、ジョン・レノンの「イマジン」を思い入れたっぷりに使っているところや、あまりにもストレートなメッセージにはちょっと引いた。
あと、何が面白いのかよくわからないところで笑う人々にも…
内輪受けって、関係のないものにすれば、すごく鬱陶しい。
まあ、芝居の内容には関係ないからいいんだけど。
ヒロインが弱かったなあ。役的にも演じた人にも、もうちょっと深みが欲しかった。

昨日ラインシネマで『HERO 英雄』を観た。
壮大な映像詩だなあと思った。
とにかく数の多さが半端じゃないの!
人の数、飛んでくる槍の数、舞い散る落ち葉の数、崩れ落ちる薪の数。
これでもかーーー!の物量大作戦。
でもね、エレガントなんだよね。
闘うシーンも、バレエかと思うような優雅な動き。
雄大な中国の風景の中で繰り広げられる一対一の対決シーンは、気持ち良すぎて眠くなったぐらい(^▽^;)
出てくる人の数は多いけれど、まともに台詞のある役は少ない。
メインは5人で、あとはほんの少しだけ。
膨大な数の兵隊はいつも声を合わせて台詞を言っていて、そこにあるのは個人の意見ではなく、集団の総意だけだ。
顔の見えない群集の力みたいなものを感じさせられて印象的だった。
黒い戦闘服だったので、ギリシャ悲劇に登場するコロスのようにも感じた。
血わき肉踊る映画を期待すると肩透かしだと思うけど、綺麗な映画だった。
でも、もちろんワイヤー使いまくりのアクションシーンはすごいです。

京極夏彦の『塗仏の宴 宴の始末』読了。
これ、前巻(宴の支度)から数えると読み終わるまでに4年かかった。
これだけ飛び飛びに読んでるとさすがに細かい部分がよくわからん。
また最初から読み直そうかな…でも、長いんだよ、これ…。
 
2003年9月18日(木)

厳しい残暑が続いていたけれど、ようやく朝晩涼しくなってきた。
でも今日はこの時間(午後11時過ぎ)でもまだ暑い。
さすがにエアコンはつけてないものの、扇風機は活躍中。
東京に行く頃には涼しくなってるかな。
この時期、先の気温が読めないので何を着ていけばいいのか迷う。

先週の金曜日(12日)、シアタードラマシティで「ウーマン・イン・ブラック」を観た。
上川隆也と斉藤晴彦が二人だけで演じるイギリス産のゴシックホラーだ。

(以下ネタバレだらけ。これから見る人は読まないように)

ロンドンの若き弁護士が、仕事で田舎町に行き、湿地帯に建つ気味の悪い屋敷で怪奇現象に遭遇するというお話。
恐怖体験自体に新鮮味はなく、洋の東西問わずよくあるお話だと思うんだけど、この芝居は、中年になった弁護士が、未だに自分の心から消えない幽霊の影を払拭するために、若い俳優を雇って恐怖体験を芝居で再現するという、ちょっとひねった作りになっている。
記憶の再現というワンクッションおいた設定ゆえか、一幕目は恐怖よりも演劇的な仕掛けの妙みたいなものを楽しんだ。
演じている役者が舞台の上でまた違う役を演じる二重構造になっていて、二人の俳優が瞬時に違う役に切り替わったり、少ない小道具を馬車や列車に見せたり、演劇ならではの面白さがあり、どこか知的なゲームのような印象を持った。

2幕目になると本格的に怖がらせる演出になるんだけど、私は西洋の怪談話を心底怖いと思ったことがないんだよね。
今回も大きな音とか暗闇で見えない幽霊の存在におびえるシーンなど、怖いことは怖い。(女性の悲鳴は本当に怖かった!)
でも、ぞーっと鳥肌が立つような感覚ではなかったなあ。
単なる演者だったはずの俳優にまで災いがおよぶ怖さはあるんだけど、途中でオチが見えてしまうので、ラストが予想通りで驚きがないのも弱い。本能的な恐怖感より理屈が勝ってる感じ。
もっとも終演後、「怖かった〜!」と言っていたお客さんがたくさんいたので、私の想像力に欠陥があるのかも・・・
それとも、最後列の一番端で見たからかなあ。前のほうで観たら、もっと怖かったのは間違いないと思う。
いかにもイギリス的な抑制のきいたカッチリとした芝居で、そういうのがちょっと苦手というのもあり、どこか乗り切れないまま終わってしまった。

何十年も天国に行くことなくこの世をさ迷い、姿を見た人に祟りをなす幽霊の生前には悲しく残酷な物語があった。
でも、その部分は深く描かれていない。
視点が弁護士にあるので仕方がないんだけど、子供を奪われ狂気におちいり若くして死んでしまった女性と、その幽霊とともに暗い屋敷で60年の年月を過ごした老婦人のドラマを私はもっと観たいと思った。
幽霊は怖いけれど、一番怖いのは祟り続ける暗い執念だと思うんだよね。
そっちをメインに描くと違う芝居になってしまうだろうけど、あの幽霊が、怖がらせるだけの存在ではなくて、もっとドラマを担ってくれたらなあと思った。
でもそれだと二人芝居は成立しないか…
まあ、作家や演出家が描きたいものと、私の観たいものが違ったんだろうな。

役者は二人とも好演。
やっぱり上川隆也は今回のような端整な役が似合うと思う。

入り口で貰ったチラシの束の中に明治座の「燃えよ剣」が入っていた。
風間さんの写真はなかったけれど、名前は大きく印刷されていてちょっと嬉しい。
早く近藤勇の写真が見たいわ〜。

芝居の感想が長くなったので最近観た映画の感想2本を手短に…

「パンチドランク・ラブ」
「マグノリア」や「ブギー・ナイツ」の監督、ポール・トーマス・アンダーソンの新作。
今までの作品が良かったので期待してたのに、消化不良だったなあ。
ポール・トーマス・アンダーソン流のひねった純愛映画なんだろうけど、どうも私にはあわんかった。
いや、悪くないんだけどね…
これ、カンヌの監督賞取ってるのか、うーん。

「ゲロッパ!」
勢いがあるので、何も考えずに見れば楽しい。
いろんな要素を詰め込みすぎて、ひとつひとつのエピソードが適当に見えてしまうのはちょっとなあと思うけど。
お客さんを楽しませたい!という監督の思いは感じた。
でも私は「のど自慢」のほうが好きだな。

ようやくトップページのリニューアルが完了した。
どうしてリニューアルしようと思ったかというと、友達の家に遊びに行ったとき、そこのパソコンで見たうちのサイトがやけに小さく見えたんだよね。
うちのPCはそれまではずっとモニターの解像度を800×600ピクセルに設定してたんだけど、今はほとんどの人が1024×768ピクセルで見ているらしいとわかり、じゃあ、その大きさに合わせて作り変えようと思った。
どうせ作り変えるならよりよいものにしたいし、雰囲気も変えたいしで、考えた結果、今のデザインに落ち着いた。
今回は壁紙も自作してみた。(といってもマルを組み合わせただけだけどね^^;)
トップに使わせてもらっている写真は、中国公演のあいまのスナップらしい。
「HPで使ってもいい写真を」とマネージャーさんにお願いして提供してもらった。
あの写真をもとにデザインを考え、ラフスケッチを事務所に送り、許可をもらったのが7月の初め。
完成までに2ヶ月もかかってしまった。
これから中身も少しずつ変えていくつもり。
もう何年も更新していない作品ひとつひとつの詳細にもまた取り掛かりたい。
さて、完成するのはいつの日か?っていうか、完成できるのか?!
阪神優勝の日にリニューアルできたのは嬉しかったな。

言っておくけど、道頓堀で騒いで暴徒化してるヤツらはただ騒ぎたいだけのフーリガンだぞ。
あれは阪神ファンではなーい!
 
2003年9月9日(火)

日曜日に松竹座で『阿修羅城の瞳』を観てきた。
3年前に一度観てるから、今回はいいかなと思ってたけど、発売から数日たってチケット販売サイトで調べたらまだ完売にはなっておらず、やっぱり観たくなって松竹座の前を通ったときに発作的に3等席を買ってしまったのだ。
結果は買って正解!
家に帰ってからネットで観た人の感想を読んだら、前回のほうが良かったという意見が多かったのだけど、私は今回のほうがストレートに楽しめた。
それは、すでに一度見ていたから、ストーリーにスっと入っていけたというのもあると思うし、前回より脱線が少なく(橋本じゅんは別にして)、より普遍的なエンターティメントに徹していたからじゃないかと思う。
よくも悪くも新感線らしさは、前回のほうがあったと思うけどね。

(以下ネタバレあり)
江戸時代を舞台にハードロックの大音量に乗せて描かれる鬼と人との激しい戦い。鬼の女王と鬼を殺すことを定められた男の愛憎。それに陰陽道とか呪術とか伝説とかエキゾチックなスパイスを振りかけて、ド派手な照明でショーアップ!いやいや、商業演劇なんだからこれぐらいやってくれてぜんぜんOK。
私は新感線のギャグはイマイチ合わないんだけど、この人たちが何をカッコいいと思うのかは、よくわかる(つもり)。
だって、もともとつか芝居にカブれたのが始まりの人たちだもん。
特にこの「阿修羅城…」は染五郎の演じた出門のキャラクターだとか、決め台詞とか、物語の仕掛け方とか、つかさん的なエッセンスの多い芝居だと思う。
鶴屋南北の役割なんて、「つか版忠臣蔵」の宝井其角みたいだ。
でも出来上がったものはつか芝居とは全然違う世界になっていて、つか的な世界に新しい世代の感覚(というか、単に演出家と作家の趣味かもしれないけど)を加えブレンドし消化したらこうなったというのが面白い。
あの頃のつか芝居に影響をうけた演劇人は山のようにいると思うけど、それぞれが違う方向でオリジナルなものを開花させているのがすごいよね。
鈴木慶一だったと思うけど、「ひとくちにビートルズに影響を受けたといっても様々だよ。チューリップにもなればムーンライダースにもなる」というようなことを言っていたのを思い出した。

ヒロイン「つばき」は、前回の富田靖子は鬼に覚醒してからが迫力不足で弱いと思った。
今回の天海祐希はその逆で、女王役は似合っているけれど前半が弱い。体育会系の阿修羅なんだよね(^。^)迫力はあるけど、情感に欠ける。でも、動きはさすがに綺麗。
染五郎は、前回の小劇場っぽい台詞まわしに苦労している感じは今回はなく安定してた。
上手いヘタじゃなく、舞台に立つことが当たり前の環境で育ってきた人ならではの「THE役者」的な雰囲気があり、そこはやっぱりスターだなあと思う。
伊原剛志、見た目に迫力あり。古田新太ほどの執念深さは感じなかったけど、カッコは良かった。
夏木マリの美惨は、すごい作り込んだ演技だった。
前回の江波杏子は、慣れない小劇場風の芝居にとまどう可愛さがあって、小劇場笑い(両手を腰に当てて「ターハッハッ」と笑うあれ。発祥は第三舞台あたりか?)をやらされるシーンなど好きだった(^。^)
でも今回の美惨にはそういう素を見せるようなシーンはほとんどない。
そんな夏木マリの演技スタイルは、今回の「阿修羅…」を象徴していたような気がする。
安倍晴明の近藤芳正は、私は良かったと思う。
平田さんが演じたのを観て、平田さんの演技はもちろんいいと思ったけど、この役に平田さんはもったいない!ってすんごく不満だったの。もっと出番と見せ場を作ってよ〜!って・・・
でも近藤さんだと丁度いい…って言い草は失礼だけど、あの軽さと愛すべき頼りなさはいい味だ。クライマックスにはもうちょっと力強さが欲しかったけどな。
鶴屋南北の小市慢太郎。実はかなりご贔屓役者なのだが、この人も後半ちょっと弱かったかな…、前半の元気なジジイは好きだ。
橋本じゅんと高田聖子はちょっとの出番で場をさらうさらう。
高田聖子は若手では最強のコメディエンヌじゃないか?
橋本じゅんは確かに出てるだけで笑えるけど、一部のお客さん、ウケすぎだよ(^^;)
祓刀斎は、私は前の渡辺いっけいのほうがコノミだな。

エンターティメントとしてはたいしたものだと思った。
でも、もうちょっと切なさが欲しかったな。
観終わって爽快感はあったけど、泣けないんだよね。
私の感性に問題アリと言われればそれまでなんだが、殺し殺される宿命を背負いながら強く惹かれあう男女の哀しみや凄みがあまり感じられなかった。様式美はふんだんにあるものの、生の感情に欠けているのかも。
中島かずきもいのうえひでのりも、ドロドロした感情を描くのは苦手(というか嫌?)なんだろうなと思う。

今日は先日見た映画『パンチドランク・ラブ』と『ゲロッパ!』の感想も書こうと思ってたのに時間切れだ。また次回。
 
2003年9月2日(火)

盛り上がらない8月があっという間に過ぎて、もう9月。
これから12月まで怒涛の観劇ラッシュの風間ファンは多そうだな。
私は9月10月でいっぱいいっぱい。12月の新国立はとても無理…と諦めてたけど、演劇雑誌で『世阿彌』のキャスト(三津五郎、寺島しのぶ、etc.)を見たら、どうしても観たくなってしまった(-_-;)
私は寺島しのぶがけっこう好きなんだよね。
それまでも上手い女優だとは思ってたけど、テレビで『グリークス』の中継を見て、「おお!この人スゴイな」と改めて思わされた。
余貴美子さんといい寺島さんといい、好きな女優さんとの共演が実現して、ものすごく嬉しい反面、正直年内3回の上京は厳しいぞ。
でも、行きたいなあ。千秋楽は私の誕生日だし(関係ないか)。
来年の明治座はどうしても観たいから、そのための貯金も必要でしょ〜。なんせ明治座の1等席を2回観るのと、新幹線の往復がほぼ同じ値段だもんね。
やっぱ「世阿彌」は諦めてその後の明治座1本に絞るか。ああ、悩むわぁ。

ようやく「われめDEポン」を見た。
風間さんまたいちだんとカッコよくなってたと思いません?(って誰に聞いてんだ)
生放送に入ってからは徹底して守りの姿勢だったけど、大人の麻雀でしたなあ。
初出場・生瀬さんの配牌の良さと引きの強さにはビックリ!
それにしても生瀬さんはいじられ上手。美味しいキャラでした。

先日見た『新・座頭市2』は良かったなあ。
シャープで威勢のいい根津甚八さんに、ナイーブな中に芯の強さをひめた風間さん。二人とも若い!そんでカッコいい!
風間さんと恋仲の女の子が栗田ひろみだよ〜。懐かしいなあ。
出演だけじゃなく演出も勝新さんなんだけど、映像は凝ってるし、ところどころコミカルで笑えるし、最後の乱闘シーンの細かい演出もナイス!想像以上に面白いドラマで嬉しかった。
若かりし日の風間さんと根津さんを見たらモーレツに『娘たちの四季』が見たくなってしまった。
でも、再放送されることはないんだろうなあ。
TBSチャンネルは古いドラマも放送してるけど、フジテレビ721は新しいドラマばっかりだもん。同じドラマばかり再放送してるし、つまらん。

先週は久しぶりにカラオケに行った。
最近の歌は知らないので、私が歌うのは古いヒット曲ばかり。
矢野顕子の「ごはんができたよ」を唄うが、やっぱり難しくて失敗した(^^;)
そのあと真心ブラザースの「まだ愛は始まってもいない」を歌ってまたまた失敗。でもこの歌、いいんだよねえ。なんか懐かしくて。
ちなみにバックコーラスに太田裕美が参加してるとか。
友達は森山直太郎の「さくら」とかキンモクセイとか、新しいところを唄ってた。
直太郎に対抗して(?)私は良子の「歌ってよ夕陽の歌を」を唄う。
キンモクセイの「ふたりのアカボシ」は私も大好きで、サビの懐かしいメロディラインには胸がキュンキュン(笑)する。
でも、出だしは難しくてやっぱりそのへんは今の曲なんだよね。
友達はくるりの歌を歌って、「このダルい感じが昔っぽくていいねん」と言っていた。
今、私たちが曲を選ぶときのキーワードって「懐かしい」なんだよね。すっかり後ろ向きだわ。
でも、最近、昔の曲のリメイクが多いのは、やっぱりいい曲は時代を超えるってことなんだろうな。
しかしラップの「なごり雪」にはビックリしたなあ。
あと、最近よく聴くのは加藤和彦の「シンガプーラ」のリメイク。
誰が歌ってるんだろう?検索すりゃあ一発でわかるだろうけど、めんどくさい。
「恋のフーガ」とか「異邦人」とか、有線で流れていると、しらずしらずのうちに一緒に口ずさんでいる。
子供のときに覚えた歌って、何年たっても忘れないものなんだよね〜。歌詞カード見なくても歌えるもんね。
それにひきかえ最近の記憶力といったら…ε= (´∞` ) ハァー
 
2003年8月24日(日)

さっきまで衛星劇場で「蒲田行進曲」をやっていたので、チラチラ見ながらPC作業。
でも、ついつい見入ってしまって、やるべきことがなかなか進まない。
こんなにフィクションを楽しませてくれる映画はなかなかないよなあ。もう何回見たかわからないけど、未だに笑える。
銀ちゃんの突き抜け具合はいつ見ても最高だ。

17日に近鉄小劇場で扉座の「きらら浮世伝」を観た。
きちんと作られたオーソドックスな話で、目新しさはないけれど、2時間半それなりに面白かった。
でも、この話ならもっと大きな劇場で華のある役者で観たいな。
初演がセゾン劇場で中村勘九郎主演だったという先入観があるせいか?
脇の若い役者に華と実力が不足していることと、舞台全体に江戸の雰囲気が感じられないのが痛い。
「シャレだよ、シャレ」と権力者を笑いのめすには、その台詞を言っている本人たちに洒落っ気がなさすぎると思った。
もっと弾んでいい舞台だと思うんだけど、なんだか沈みがちなのは意図してのことなんだろうか?

22日にもまた近鉄小劇場。今度はウーマンリブの「熊沢パンキース03」を観た。
立見もいっっぱい。またよく笑うの、若いコたちが。
脚本・演出(ちょこっと出演も)の宮藤官九郎の人気と勢いを感じさせられた。
舞台はワーワー騒いでくだらないギャグ(誉め言葉)で笑ってそれだけって感じ。
でも、それだけで2時間20分をダレずに見せるのはある意味スゴイかも。
閉塞感あふれる人間関係とか、死に至る未知のウィルスとか、決して明るい話ではないのに、みんなで遊んでるような、後で「ウソでした〜」とヘラヘラ笑いながら登場してくるんじゃないかと思わされるような、力の抜けた終末感と不思議な明るさがあるんだよね。
まとまりのないとっちらかった印象の舞台だったけど、笑えたからまあ、いいか〜。
田辺誠一の舞台姿は初めて見たけれど、想像よりずっと地味な人だった。でも、悪くはない。

最近読んだ本。
「赤目四十八滝心中未遂」(車谷長吉)
そういえばこの小説は映画化されていて、もうすぐ近鉄アート館で先行ロードショーされるらしい。
近鉄小劇場は建物ごとなくなってしまうけど、アート館は劇場として使ってないだけで、ホール自体はまだあるんだから、また芝居の公演を復活させればいいのになあ。
10月にはここで文楽をやるみたいだし、これからのアート館の企画に期待したい。

そうだ、そうだ。風間さん、われポン優勝おめでとうございます!
それにしても、われポンだけで600万稼いでるって凄いな〜。
宵越しの銭は持たない江戸っ子の風間さんだから、パっとおごっちゃってるのかな。
いけない、いけない。人の財布の詮索は野暮ってもんですな。
 
2003年8月12日(火)

明日から盆休み。でも、今年は父方の祖母の新盆だし、母方のお墓参りもあるし、それだけで終わってしまいそう。
まあ、でも秋の行事を思えばお金は使えないから、ちょうどいいか。
先週、シネフェスタに映画「ホテル・ハイビスカス」を見に行った。
沖縄を舞台に、小学生の女の子(美恵子)とその家族の夏休みが描かれている。
とにかく主役の女の子の元気の良さが気持ちいい。沖縄の景色や音楽やおおらかで前向きな人々に、たっぷりエネルギーを貰って、明るい気持ちで劇場を出られた。
お盆の夜に美恵子が、戦争直後に亡くなった自分と同じ年ぐらいの叔母さんに会って、髪に花を飾ってもらうシーンは泣けた(T_T)

風間さんが来年5月に舞台「燃えよ剣」に出演するというニュースを聞き、こらえ性のない私は、さっそく原作を読んだ。
文庫版は上下2冊と長いんだけど、面白いのでドンドン読める。
新撰組のことはドラマや映画で断片的に見ることはあっても、実はあまりよく知らなかった。
この小説を読んで、京都に行ったいきさつや、当時の社会状況などを初めて詳しく知って(だって、高校の日本史は幕末まで行かなかったんだもん)、今更ながらこんなに面白い時代だったのかと引き込まれた。
風間さんが演じるのは近藤勇だということだけれど、30代の頃なら「近藤は違うやろー」と思っていたと思う。
かといって本を読むと土方のイメージでもない。強いて言えば、山南じゃないかと思ったけど、これは私の好みが多分に入っているので、異論のある人も多いだろうなあ。
でも、今の風間さんなら、近藤は似合うかも。
近藤という人は、豪快な剣豪である一方で、政治が好きだったらしい。でも、田舎育ちで議論慣れしていないうえに世間の動きが読めず、時代遅れの考えを披露しては悦に入るような、ちょっと勘違いしたところもあったとか。
でも、そういう人間くさいところが可笑しさであり哀しみでもあるよね。
風間さんは舞台に立つと、一気にその場の空気が変わってしまうぐらいの明るさを放つ。その明るさや存在の大きさとともに、近藤という人の可笑しさや哀れさをも表現できる深さも持ち合わせているから、風間=近藤にはかなり期待している。

風間さんと土方歳三といえば、やっぱり「蒲田行進曲」ざんすよね。
土方に扮した銀ちゃんが池田屋の階段を昇っていくシーンのカッコ良さは今もファンの語り草だ。
でも、「燃えよ剣」を読むと、近藤は池田屋の2階に上がったけれど、土方は最初は別の宿に偵察に行っていて、後から駆けつけたので、階段を昇ることはなく、ずっと1階で戦っていたらしい。
このへん、他の映画ではどう描写されてるんだろう?
映画の「蒲田」には沖田は登場しないけど、舞台版では根岸季衣さんが「沖田総司は女だった」という設定で沖田を演じていた。
そう、その後舞台や映画になった「幕末純情伝」は、もとは「蒲田」の劇中劇だったんだよね。
つかさんの作品ではこういうことはよくあって、「広島に原爆を落とす日」のディープ山崎も、もとは「戦争で死ねなかったお父さんにために」に登場した蕎麦屋の出前持ちのおとっつぁんを発展させて出来たキャラクターだったりする。
そういえば、大昔貰ったチラシに、“つか事務所の新作は「新撰組」”と書いてあって、その企画が変形した形で出来たのが「蒲田」だったんだろうか?
それが小説の「幕末純情伝」や「竜馬伝」につながってるとか?
しかし、よく考えると私は「幕末」も「竜馬伝」も読んだはずなのに、なんにも覚えてないってどういうこと?!頭ん中、ザル?

今思ったこと。舞台「燃えよ剣」に階段落ちはあるのか?

ほかに最近読んだ本。
「嫌われ松子の生涯」(山田宗樹)
「寝言サイズ断末魔」(松尾スズキ)
ビデオで「ミラクル・ショー ハロルド・スミスに何が起こったか?」
「四谷怪談」(蜷川幸雄演出の舞台)を見た。
 
2003年8月3日(日)

昨日、名古屋まで「立川文志とその仲間たち」を観に行ってきた。
名古屋に着いて、まず会場の中小企業センターの場所を確認しておこうと地図を片手にウロウロするが、駅前に大きな工事中のビルがあり、地図とちょっと雰囲気が違う。思った以上に場所を見つけるのに手間取ってしまった。
ようやく場所が確認できたので、隣の駅(金山)にある名古屋ボストン美術館に「ボストンに愛された印象派」という展覧会を観に行く。
うーん、やっぱり私は絵を見る目はないなあ。
どの絵も綺麗で素晴らしいと思ったんだけど、ここに展示されている絵は、特別素晴らしい絵ばかりでしょ。
「普通に上手い絵」と「特別素晴らしい絵」を見分ける眼は私にはないだろうなあ。
印象派はとくに、難しいような気がした。
常設展の「エジプト・ギリシア・ローマ 古代地中海世界の美術」も見た。私にはこっちのほうが面白かったかも。
紀元前の壷や彫刻が綺麗な形で残ってるのに驚いた。
ガラス製品は今見てもすんごい綺麗だし、ギリシア時代の壷なんて紀元前500年のものなのに、色鮮やかで、描かれてる模様も洗練されてて、教科書で習ったはずなんだけど、実物を目の前にするとやっぱり凄いな。

余裕を持って行ったつもりだったのに、案外時間のたつのは早くて、晩ご飯を食べていたら結局開場時間ギリギリになった。
でも、開場直後はそれほど人は多くなくて、中央に近い通路側に座れて満足。
最初の出し物は橘ノ冨多葉さんの落語で「子ほめ」
これは、確か上方落語で何度か聞いたことがあった。
誰だったかなあ。米朝さんだったかな。
タダ酒飲みたさに赤ん坊を誉めようとする粗忽ものの話。
冨多葉さんは歯切れの良い語り口で、サクサクと噺が進んで面白かった。
次が津軽三味線の高橋竹童さん。
初めて津軽三味線の生演奏を聴いた。すごい迫力!
途中で糸が切れるアクシデントがあるも、軽妙な話術でお客さんを笑わせながら糸を張替える様子も見せてくれた。
「本調子」「二上がり」「三下がり」と、調弦についての解説も面白かった。
胡弓で「おわら節」の生演奏が聴けたのも、風間ファンにはとってはタイムリーで嬉しかったな。
しかし胡弓の音色を聞くと、京劇の女形に扮したレスリー・チャンが出てくるような気がしてしまう。映画の見すぎだ。
次は春雨や雷蔵さんの「へっつい幽霊」
この噺は初めて。幽霊といっても人間味があって怖くない。サイコロの勝負になるあたりが、楽しい。
こういう噺を聴くと、「ゆうれい貸します」は落語のような味わいのドラマだったなあと改めて思う。
10分間の休憩を挟んで立川文志さんの登場。
江戸文字の芸って、どういうんだろう?ってあまり想像できなかったんだけど、なるほど〜。観客参加型の江戸文字による言葉遊びなのね。一人、すごく漢字に詳しいお客さんがいてビックリした。
で、トリを務めたのは風間さん。
昨年12月に続いて今回も出し物は「居残り佐平次」
登場して座布団に座り「こんばんは」とニコリと笑った瞬間に会場は風間色に染まったね。
男の人はわからないけど、女性の観客のハートはあそこで鷲づかみでしょ(^。^)
最初にラサール石井さんが万馬券を当てて、みんなでキャバクラに行った話で軽く笑わせて、そのあとは品川遊郭の世界へ。
いや〜テレビ番組で「堀の内」を披露した頃と比べたら、格段に落ち着いていて、板についてきたっていうのか、安定感が違う。
本職の落語家さんと違って風間さんのは話芸って感じじゃないんだよね。俳優さんだからなのかな、語りというよりも身体全体で魅せてくれる。でも、しっかり落語なのね。
噺が乗ってくると、どんどん勢いが増してきて、まさに立て板に水。うっとりするぐらい気持ちいい。
女性を演じると色っぽいしね〜。最後は悪の魅力も感じさせてくれるし、これは堪えられないわ。ファンはもちろん、ファン以外の人にも見て欲しいなあ。

風間さんはやっぱり着物が似合う!
更にカッコ良さを増した風間さんにクラクラしながら新幹線で大阪まで帰ってきたら、環状線のホームに人があふれてる。
なんでもさっきまで事故でストップしていて、運転を再開したばかりだとか。
ギューギュー詰めで帰るのはイヤだから座れる地下鉄で帰ることにした。
家にたどり着いたのが11時過ぎ。
疲れたけど、充実した一日だった。
イープラスでチケット取れたし、次の芝居「死と乙女」が楽しみ!

最近、嫌なニュースが多かったせいか、フィクションの世界に逃避しがち。ここ2週間ほどビデオやDVDばかり見ていた。
見た順に書くと…
「ロスト・ソウルズ」「トータル・フィアーズ」「薔薇ホテル」「トリプルX」「とらばいゆ」「助太刀屋助六」
戎橋に大きなTSUTAYAが出来て、珍しく演劇のビデオがあったので、2本借りてきた。
その中の1本「真情あふるる軽薄さ2001」を今日見た。
でも、長くなったので感想はまた今度。

先週梅田のビアガーデンに行った。
ビアガーデンの大型スクリーンでは阪神戦を中継中。
雨が降ってきてもお構いなしで営業続行。雨の中、みんな傘をさしてビール飲んで阪神の応援をしてた。
私はもう最近は熱心に野球は見ていないのだけれど、雰囲気が面白かったので、やっぱり傘をさしてビール飲んで野球観戦。
阪神は負けたけど、久しぶりに友達と二人でゆっくり飲めたし、楽しかった。今度は晴れの日に行きたいな。
でも、野球を見ながらビアガーデンでビールを飲むのが今こっちでは大人気で、阪神のビアガーデンなど予約でいっぱいらしい。
8月末から9月にかけてなんて凄いんだろうなあ。
なんでも盛り上がれるものがあるのはいいことだよね。
行き過ぎはよくないけど、こんなことそうそうないんだから、お祭りはノったもん勝ちだわね。
 
2003年7月20日(日)

前に書いてからもう2週間以上たってる。
「明日は『風のなごり』だ〜!」って書いたのがずいぶん前のようだわ。
先週の土日は風邪で体調悪かったので心配だったが、なんとか無事に南座通いは終了した。
たかだか4回の観劇ですら体調管理が出来ない私と比べて、一ヵ月半という長丁場を声を嗄らすことなく舞台に立ち続ける役者さんのタフなこと。
やっぱり日ごろの鍛錬と心構えの違いかなあ。

さて、その『風のなごり』
私が観たのは7月5、9、12、13日のすべて昼公演。
最初に観たときの正直な感想は「うーん、悪くないけどなんだか物足りないなあ」だった。
一足先に新橋演舞場で観てきた皆さんがBBSに書いてくれた舞台の感想を前もって読んで予習はバッチリだったので、想像していた内容と大きく違ってはいなかった。
だからガッカリはしなかったのだけれど、サラリとしすぎて通り過ぎてしまう感じ。
登場人物の内面をえぐり出すようなえげつなさとは無縁の、良く言えば上品な舞台だと思った。
4日後に二度目の観劇。
前回は3階だったがこのときは1階の前から9列目。
当たり前だけど、役者さんが近い!表情がよくわかる!
一度観て話の流れや登場人物のキャラクターが頭に入っているせいか、役者さんたちの演技に集中して観ることが出来、一回目よりかなり面白いと感じた。
昭和35年の風俗を散りばめながら話は調子よくとんとんと進んでいく。
各登場人物は辛い過去や背景を背負っているけれど、そこは深く踏み込んでは描かれない。
おそらく初見のときに物足りなかった原因はココにあるんだと思う。
でも観るたびに舞台の登場人物に愛着が増していき、最後には、八尾の町に、本当はいないはずの琴子さんや清風荘が今も実在するような気持ちになっていた。
ただ、普通は一度しか観ないわけだから、二回観たら面白かったという感想もどうかなあ、難しいところだなあと思うけど、あの時代を知っている世代のお客さんなら、一回観ただけでも登場人物の喜びや悲しみが実感としてわかるのかもしれないなとも思う。

風間さん演じる俊太郎を見て『上海バンスキング』のシローを連想した。
風間さんお得意の“調子ばかり良くて現実に立ち向かえないダメ男”だけどなぜか女性にはモテるという役どころだ。
土下座して謝って、あとで「俺、謝るのはお手のモンだけどさ」と言うところや、愛人に責められると「俺のことイヤになったのか?」と卑屈になるところなど、私好みの風間節炸裂で嬉しかった(^。^)
客観的に見ると相当利己的で情けない男だけどね〜、風間さんが演じると、それでも憎めない、むしろほっておけないと女性に思わせるキャラクターになるんだよね。
飲み屋の女将さんが言う「女にとっては居心地のいい男」という台詞には「なるほど〜」だった(~o~)

波乃久里子さんは良かったなあ。
舞台に登場するだけで雰囲気があった。
多岐川裕美さんも、美人女優という認識しかなかったんだけど、たおやかって言うのか、しっとりした色気があって、それでいてさっぱりとしていて、思っていた以上に魅力的だった。
上杉祥三さんはなんだかとっても楽しそうに演じてた。
酔って風間さんにからむ場面では、役者・上杉祥三が、役者としての先輩・風間杜夫に挑んでいるようにも見えて、なかなか刺激的な光景だった。
梅津栄さんは可愛かった(^。^)
ときどきいろんな意味で見ててハラハラしたけれど(^^;)、和みキャラだったね。そこにいるだけで嬉しい…みたいな。
匠ひびきさんは華麗で華のあるダンスはさすが!
ただもうちょっと情感が欲しかったな。
俊太郎と舞子がビジネスライクな関係にしか見えなかったのさ。
この二人のシーンは、もっと深く描いて欲しかったなあ。借金取りの引き際の甘さも含めて、綺麗すぎる気がした。
(生意気なことを書いて気を悪くした人がいたらごめんなさい〜(゜人゜))
あと、若者たちの服装があまりにも現代的だったと思う。
一番時代を感じさせるのは若者のファッションのはずなのに、あれじゃあ今のコと変わらない。
髪型や服装でずいぶん印象は変わると思うんだけどなあ。

最初は新内にもおわら節にも馴染みがなくてピンとこなかったのだけど、何度も聴いているうちにすっかり耳に馴染んで、いいなあと思えるようになった。
胡弓があんなに哀愁のある音色だったとは知らなかったよ〜。
クライマックスの風の盆のシーンでは、おわら節を口ずさむ人あり、手振りを真似する人ありで、客席の様子も面白かった。
踊り手が花道から登場すると、客席がいっせいにザワつくんだもん。
きっと風の盆についての薀蓄を語っていた人がたくさんいたに違いない(^。^)
終わったあとの通路でも、「私が去年風の盆に行ったときは…」と、風の盆マメ知識を披露している人が、そこかしこにいた。
富山に近いぶん、演舞場より南座のほうが風の盆体験者は多かったのでは?

千秋楽は花道の近くで観て、すぐ側を通り過ぎる風間さんのカッコ良さにドキドキ(*^o^*)
いやあ、相変わらず色っぽかったですわ。
風間さんの周囲がフェロモンに包まれてピカピカ輝いて見えました(笑)
新内の弾き語りの場面もサマになっていて、きっとものすごい努力と集中力であそこまで出来るようになったのだろうけど、そんな気負いは少しも感じさせずにサラリとこなしているように見せるのだからさすがだなァ。
残念だったのは、新内があまり物語にからんでこなかったこと。
せっかく新内の名人が歌声を聞かせてくれるのだから、新内と登場人物の人生がオーバーラップするようなお話だったらもっと良かったのに。

とは言え、なんだかんだ言いつつ、楽しく観られた舞台だった。
もう俊太郎に会えないなんて淋しい…
と、無難にまとめたところで感想はおしまい。

昨日は近鉄小劇場で劇団MOPの『オールディズ・バット・ゴールディズ』を観た。
簡単に言うと銀行強盗と、人質になった銀行員たちのお話で、舞台は1974年10月。
なぜ1974年?と思っていたら、犯人の要求が、佐藤栄作のノーベル平和賞辞退なんだよね。
佐藤栄作がノーベル平和賞に選ばれ、学生運動はもう過去の出来事になっている。
でもまだ、一部の若者は学生運動の後遺症をひきずっていて、青臭い理想論がかろうじて輝いていた時代。
戦争を体験した中年と戦後生まれの若者とのあいだには大きな考え方の違いがあって、今みたいに大人と子供の線引きがグズグズになっていないぶん、お互いの主張がわかりやすいし、また説得力もあるよね。
最後まで面白く観れたんだけど、なんつーか、ロマンチシズムみたいなのが、いくら70年代を舞台にしているとはいえ、ちょこっとこっぱずかしい。
今の時代にこそ、あの時代の青臭い正義感を思い出すことは意味のあることかもしれないし、私も70年代は好きな時代なんだけど、ラストの反戦歌をみんなで歌うようなノリは、うーん、心を動かされないこともないのだけれど、なんか居心地悪いのよなあ。
劇中でラジオからユーミンの『あの日に帰りたい』が流れてくるのを聴いて、「あれ?1974年にこの歌はまだ発売されていないのに」と不思議に思った。
作・演出のマキノノゾミ氏は私よりほんのちょっと年齢が上なだけなので、そのへんはわかっていると思う。ということは、事実とは違ってもこの曲を使いたかったということ?
きっと『あの日に帰りたい』というのは、ヒロインの心情なんだろうな。
自分自身も若者たちの理想も輝いていた1969年へ・・・・・
こういうセンチなところも、こそばかったりするんだけど、マキノさんはマジメないい人なんだろうなあと思う。
ヒロインを演じたキムラ緑子さんを見ていて、あれ?と思った。
それはこのヒロイン、髪型や衣装や声のトーンや台詞回しが、つか事務所時代の根岸季衣さんにそっくりだったから。
今まで緑子さんの舞台を見て根岸さんに似てるなんて思ったことなかったから、今回は意識してやってたんだろうか?
そういえば前に「最初の嘘と最後の秘密」という芝居で映画女優を演じた緑子さんは、なんだか桃井かおりさんに見えた。
役作りをするときにモデルを決めてるとか?
それにしても昔の根岸さんに似てたよ〜。ビックリした。

先週、映画『ソラリス』を見た。
70年代に作られた同じ原作のタルコフスキー版は2時間半ほどあったと記憶しているけれど、今回の映画は約90分。
SF映画とは言え、メインは妻を亡くした男の悲しみで、最後はたとえそれが幻とわかっていても、愛する妻と一緒にいることを選ぶ主人公に泣けた。

DVDで『完全犯罪クラブ』と『チェンジング・レーン』を見た。
『チェンジング・レーン』は期待していなかったけれど、案外面白かった。
今日、TSUTAYAの前を通ったら100円セールをやっていたので、ついまた3枚借りてしまった。
そういえば戎橋にでっかいTUTAYAが出来て、早速会員になったものの、オープンしてからはまだ一回も行ってない(開店前に街頭で入会キャンペーンをやっているときに会員になったのだ)。
品揃えはどんなもんなんだろう。西日本最大級らしいが。

久しぶりに長文を書いたら目が霞んできた(・_ゞ)
あとでブルーベリーの錠剤を飲んどこう。
 
2003年7月4日(金)

だるい。早くも夏バテか?
今日は梅雨の晴れ間で暑かった〜。でも夕方からはグっと湿気が増したから、明日は雨かなあ。
明日は京都だというのに雨だとヤだなあ。
雨が降ると着る服に困る。履ける靴も限られるし、傘は荷物になるし。

そう、明日はいよいよ「風のなごり」だ!
その前に、最近観た芝居や映画の感想を書いておこう。

先月の29日に阿佐ヶ谷スパイダースの「みつばち」を観た。
作・演出は長塚圭史 出演は山内圭哉、鈴木砂羽、他。
阿佐スパ初の時代劇だということだけど、描かれている世界はいつもの長塚作品と変わらない。
ただ今回は時代劇ということで、物語をよりドラマチックにすることが出来たのかなと思う。
愛のない日々を生き延びるよりも、愛しあい求めあえる地獄を選んだ男女のラブストーリーなんだけど、女は亭主の愛を独占するためにお腹の中の子供を殺した過去があり、男はその女を助けたいが為に自分の弟を殺す。
そこまでするほどの感情の昂ぶりや業の深さがこの二人から感じられないのが残念。
鈴木砂羽は映像では独特の色気があって適役だと思うのに、なんだかサラっとしすぎてるような気がする。
「子供に亭主の愛情を取られるのが怖くて、子供を殺した」と台詞で語られてもあんまり説得力がないんだよね。「この人ならやるだろう」と理屈ぬきに感じさせてくれるような凄みが欲しい。
でも、今まで私が観た長塚作品を考えると、悲惨な状況を描いていながらも、目を背けたくなるようなドロドロとした汚らしさはない。この人、育ちがいいんだろうなあ、頭もいいんだろうなあと思う反面、とことん深く描くことを避けているようにも思える。
もちろん、お芝居を観にきて嫌な気持ちになんてなりたくないし、ラストに救いがあり、人間に絶望していないところが、長塚作品の良さだと思うんだよね。
休憩なし2時間40分を適度な笑いをちりばめて厭きさせることなく一気に見せる手腕もたいしたもんだと思う。
それでも、今回のようなどん底の状態での激しい愛憎を描くなら、もうちょっと汚してくれても良かったんじゃないかな〜と思った。

先週、友達に招待券を貰ったのでシネリーブルに「CUBE2」を観に行った。
ミニシアターでヒットした「CUBE」の第二弾。
前作も見た友達に言わせると、2作目は1作目よりかなり落ちるとのこと。
私は前作は予告編しか見てないんだけど、全体的にダークな色合いの映画だったイメージがある。でも今回は白を基調にしたテクノっぽい感じ(どんな感じやねん(^^;;)
見てるときはそれなりに面白かったが、確かに後半ストーリーがグダグダになっていったなあ。むちゃくちゃっていうか。
オチにも意外性なし。でも、何も考えなければ、そこそこは楽しめるのでは?見終わったあとに何も残らなくてもね。

レディースデーにテアトル梅田で「神に選ばれし無敵の男」を観た。
こんな映画を上映していたとは観に行く直前までぜんぜん知らなかった。
映画サイトの紹介を見て、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の久々の映画だということと、ティム・ロス主演に惹かれて観に行くことにした。
ヘルツォークはドイツの監督で、「アギーレ神の怒り」や「フィッツカラルド」といった強烈な映画を監督してきた人だ。
そんなイメージがあったので、この映画も相当個性の強い映画かと思っていたら(以前の映画が強烈だったのは主演のクラウス・キンスキーの顔のせいか?)、以外にも丁寧で端整な映画だった。
主役の朴訥な力持ちの青年も良かったが、やっぱりティム・ロス扮する上昇志向をみなぎらせた「自称超能力者=ハヌッセン」が魅力的に描かれていた。
そういえば昔「ハヌッセン」という同じ人物を描いた映画を見たけど、内容は忘れてしまったな〜(~_~;)けっこう良かった記憶はあるが。
主人公は「現代に蘇ったサムソン」と呼ばれる力持ちの芸人なんだけど、恥ずかしながら私は「サムソン」をよく知らない。なんか、聖書に出てくる人らしいというぐらいの乏しい知識だ。
ナチの台頭を予言し、民衆を立ち上がらせようとして果たせなかったこの青年の話(実話らしい)は、戦後のユダヤ人にとっては教訓になっているのだと思われるが、キリスト教やユダヤ教に日ごろ親しんでいる人ならすぐにわかる比喩や暗喩がこめられているのかなと思う。その国の文化を深く知っているか知らないかで、外国映画の楽しみ方に差が出るるんだろうな。
ヒロインはピアニストという設定で、演じている人も本物のピアニスト(マルタ・ファーラ)だそうだ。ベートーベンのピアノ協奏曲を弾くシーンは感動的だった。
ちょっとだけ出るウド・キアが快楽主義の金持ち階級を演じていて、ビスコンティの映画や「キャバレー」で描かれたデカダンな人々はこういう連中なのかと思った(よく知らないで書いてるので、間違ってたら放置してください)。
そういえばウド・キアって、日本の歯磨き粉のCMに出てなかったか???

DVDで日本映画の「ドライブ」を見た。
こんな話だったのか〜。一種のホラーだったとは知らなかった。
この監督のセンスはちょっと苦手なんだけど、まあまあ面白かった。
役者さんたちの怪演が楽しい。

「ゆうれい貸します」終わっちゃったよ〜。
最後の2話は前3話とは違うドラマかと思うぐらい雰囲気が変わってなあ。
これはこれで良かったよ。お染と弥六の心がふれあい成仏するシーンではやっぱりジーンときた。二人の演技もすごく泣けたしね。
長屋の人たちが団結して事件を解決しようとするのにも嬉しくなった。。
でも、個人的な好みを言わせてもらえば湿っぽいのより明るい前半のタッチのほうが好き。
私のベストは「腰抜け侍」かな。
この明るいタッチでまた続編が作られれば最高なんだけどな〜。

最近、訃報が多いなあ。
グレゴリー・ペックやキャサリン・ヘップバーン。それから名古屋章さんも…
風間さんと共演した「すててこてこてこ」の写真が告別式で使われているのを見て、あの役は名古屋さん渾身の舞台だったんだなあと思った。
実は関西公演がなかったので、私は観ていない。
観たいよ〜と今さら思っても観られないのが演劇。
その代わり、観た人の心の中ではいつまでも生き続けるんだよね。
どうぞ、安らかにお眠りください。

もうひとつ驚いた訃報は田嶋ミラノさんだ。
舞台はテレビ中継で一度観ただけなんだけど、関西の劇団「惑星ピスタチオ」出身の女優さんが東京でも活躍し始めたと知って、いつかはナマで見たいと思っていたのに。
まだ、30代後半だったよね。若いよな〜。
ご冥福をお祈りいたします。

久々にいっぱい書いてしまいった。
明日は早いのでそろそろ寝なければ!
 

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